アンヌ・グロ Anne Gros / Bourgogne Chardonnay 2019

葡萄はマコンらしいけど、イランシーの赤にそっくりの香り。雑味は全く無く、ぼってりと重い果実感。 最近、シャブリや甲州に慣れていたので少々重く感じる。アルコールの質感が非常に良く、常温でも飲めるほど。 Anne Gros / Bourgogne Chardonnay (ネゴシアン)

いつしか木村さんが、ワインのことを良妻賢母と表現していたことがあるけれど、そのままのワインな気がする。慎ましく控えめな主張で、完成度が高く安定している。 今まで、どこか不安定で、橋の上を渡るような病弱な白ブルを飲みすぎていたせで、物足りなく感じてしまう。

ヴォルネイ V.V. 2019 ロシニョル・フェヴリエ

’19の広域ブルが、グラントネイの上位互換の美味しさで感動して慌てて’17のヴォルネイV.V.買った。 結果、青っぽく未熟な野菜が前面に出ていてグラスを空けるのが苦痛なほど。ヴィンテージの大切さを再確認したという。

抜栓2日後 残量が半分、コルク逆さ保管にもかかわらず、骨格ががっちりしていて全く酸化していない。まだ10~20年以上持つような強靭さ。 初日には気づけなかったけれど、四半世紀以上の熟成を前提とするボトルなのかもしれない。

小粒の苺(章姫)、煙草の生葉、濡れたノート、ヴァニラアイス。抜栓初日と手のひら返しになるけれど、古典的で本当に良い造り手。まだ深く眠っている。 近年ゴリ押ししているニコラ・ロシニョールの1erと比較しても優れた生産者。

昨今流行りの、完熟早飲みスタイルになれてて初日で気づかなかった。真剣にやらないと、りんりんに「ワインの声を聞け」って怒られてしまいそう。

ヴォルネイ V.V. 2019 ロシニョル・フェヴリエ

価格:4,200円

ルー・デュモン フィサン 2010年

強烈に酸化している。ルー・デュモンACブルゴーニュの1989年、2000年など数多く飲んだけれど、中でも強い酸化。

元々のブルゴーニュワインの酸味もあるけれど、コルクや瓶内、添加などによる経年変化によるものが大きい。かなりのブルゴーニュ慣れをしていないと飲むことは難しい。

フィサンとしては、水はけの悪く土壌はあまり良くない場所な気がする。グレートヴィンテージの恩恵も得ていない気がする。
この手の価格帯であれば、最近はルー・デュモンよりも新生シャルル ノエラの方があたりが多い気がする。ルー・デュモンは、無名な絵画のように、「難解」なものが多い。

このフィサンに関しても、上記でさんざんボロクソにけなしたようにみえて、実際には最後の1滴まで完飲した。2日めは流石に氷を一ついれて初心者向けにして飲んだ。

廃村に残された朽ちた仏像を見て何を思うだろうか?
それに近い精神性を求められる。よく管理や手入れをされた都会にある現代的な仏像を見慣れた人にとって、それは汚い朽ちたゴミに見えるかもしれない。

では、修行僧のように森の中を彷徨い、精神も肉体も極限の状態が続いた人が里に降り、偶然に廃村に差し掛かり朽ちた仏像を見たとしたら……?

ルー・デュモンのブルゴーニュには、この手の謎掛け、謎解きが多い。分からない人には、謎が含まれているということさえ分からない。

境地に達した人にしか見えない情景があること、私が言えるのはその程度しかない。

ジョルジュ・シコトDom. Georges Chicotot コート・ドール ルージュ 2019

還元臭、シソ・梅
フィサン、バラバラのぶどうが混ざった感じ、ちょっと鉄

完全除梗に近い
ミッシェルグロ ニュイ・サン・ジョルジュ15年に似ている。

酸味が小粒ベリーで軽快。近年のブルゴーニュに近い作りだけれど、トロボーのそれと比べると雑味があり、温度が上がるとネガティブな印象が強い。

2日目には、氷なしでは飲めない状態だった。
やっつけるとは言わないけれど、抜栓1時間で飲みきったりんりんは正しい判断だった。

実売価格が3千円台なら納得できるけれど、この傾向であればジョルジュ・グラントネイの方が評価ができる。
また、NSGという意味では当たり年のドミニク ローラン ブルゴーニュ ヌメロ アンの方が感動する香りがある。

ドメーヌ・テナール Domaine Thenard ジヴリ2017年

ワインを長くやっていると、先入観によって本当に価値のあるものを見逃してしまうことがあります。
例えば、ブルゴーニュであれば「ジュヴレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネが最もおいしいワインの村である」 「評価されている村こそが素晴らしい、他の無名な村は味わいが劣っている」と勘違いしやすいです。

なるべく先入観を排除しようとしているのですが、バーのソムリエールが「ジヴリはどうでしょうか?」と提案していただいたとき、「え……ジヴリか……」と躊躇してしまいました。

ジヴリ プルミエ・クリュ セリエ・オー・モワーヌ 2017年 ドメーヌ・テナール

結論からいうと、感銘を受けるほどに誠に素晴らしい生産者のワインです。
ヴォーヌ・ロマネにあるスパイスや薔薇の華やかさ、ジュヴレ・シャンベルタンの獣のような畏怖はありません。特徴のつかみやすい香りはないのですが、古典的なブルゴーニュワインを思わせる、信仰心を取り戻すことのできる香りと味わいでした。

言っていることが理解できないかもしれませんが、どこか単調で地味に感じるバロック音楽の演奏を聞くような感覚です。

20年以上の熟成を前提とした古典的な作り。全房発酵ではないものの、キメの細かいタンニンが骨格を支え、5年前なのに追熟を必要と思わせる品質だった。コート・シャロネーズにありがちな田舎臭さを、徹底的に排除した仕上がり。優れたフィサンのようなミネラル感があり、ぶどうに良い緊張感があり、カビや水っぽさは全く無い。

昨今流行りの、「エレガント」「早飲み」「香水」「ジューシーな果実感」「フレッシュ」「透明感」とは対極にあります。
2017年から既に5年経っているにも関わらず、まだまだ熟成を必要とすることがひと目で分かります。

香りは固く閉ざされ、味わいも今がピークではなく、十年以上先にあることが伝わってくるほどです。グラスの温度を上げても、ネガティブな要素が一切出てくることはなく、ワイングラスの中で破綻がありません。

土壌の良さと、生産者が丁寧に作っていることが、この1本からヒシヒシと伝わってきます。傾向としては、「オーセイ・デュレス モノポール クロ・デュ・ムーラン・オー・モワンヌ」のような単一の畑で完成されたワインを感じます。

ワイン初心者にはいささか飲みにくく、慣れてきた人には物足りないかもしれせん。祈りや信仰を思い起こさせるブルゴーニュワインの本質を持った1本です。

中央葡萄酒 グレイス甲州 菱山 2020年

菱山を散歩したのは、もう5年近く前のことになります。
テイスティングイベントにバスツアーで参加して、畑ごとの特徴の違いなどを聞きました。

こんなことを言うとミモと馬鹿にされてしまうのですが、メルシャンの「甲州」にハマっていて、りんりんとグランテイスティング会を開きました。

結果からいうと、価格が2倍近いだけあってグレイス甲州 菱山の方が格別質感が良いという話に落ち着きました。ただ、個人的には甲州に求めるものの、谷間に入ってしまったと思います。

何かというと、一つは「キュヴェ三澤」のような極めて質の高いワイン。良質なフランスワインと比較しても引けを取らない品質、もう一つは「メルシャン甲州」のような入門グレードで1,500円あれば購入できるカジュアルなワイン。

この2つは価格もポジションも正反対です。この「グレイス甲州」はどちらかというと、メルシャンのようなカジュアルな飲み方をするものです。そうなると、「豪華で重厚感のあるシャブリ」のような「コレジャナイ感」が自分の中にあります。
確かにアルコールの質感は高く、春の花のような繊細な香りがありますが、メルシャンの水のようにガブガブ飲めて、グレープフルーツのようなあっさりとした柑橘の方が正直分かりやすく、仕事で疲れて飲むのにぴったりな気がします。

プレイベートリザーブも何度か飲んでいますが、中央葡萄酒を飲むのならばシャルドネ、メルロなどもう一つ上のグレード、できればあけの、明野甲州やキュヴェ三澤までいってしまうほうが納得できると思います。

グリド甲州など入門もありますが、私自身の好みではあえて安い価格帯で買う必要な無い気がします。

「ルイロデレール」新コレクション242、243比較テイスティング

テイスティング行ってきました。

稽古の答え合わせしてくださったご婦人、ありがとうございます。

コレクション242

ナッツ、レモンピール、昔のより良くなってる
ハーブ レモングラスとローレルのような

甘夏の果皮のような明るく快活な酸味
尖っているけれど悪くない
糖度は低くドライ グレープフルーツなど柑橘系がぜんめん
繊細な前菜にあう

温度が上がると、春の雑木林を掻き分けるときのようなグリニッシュな香り

コレクション243

とても良い ボランジェ?
紫檀、香木
ルイロデレールとしての骨格を持ちつつも、重心が低く太い味わいに 前菜でなく、骨付きラムとかに合いそう

乾燥した薪を割るときの香り
グリーンはない? フランス香水のラストノートの
涼しい夜みたいな

良く熟したピノノワール

ラスコンブ

香りは神が宿っている、円熟したマルゴーの境地
味わいは、干し葡萄、スモークチーズ、乳製品、牛乳、田舎で飲みたい 朝霧高原とか暖炉
ローストビーフ、鱒のマリネ、

GARGERYガージェリーのビールは美味しい?

某所で話題のGARGERYガージェリーを飲んで来ました。
ヴァイツェンからスタート。正直、国産ビールそれも瓶ビールへの期待は薄かったのでジョークグッズとして注文してみました。

一口飲むとライトな味わいなのに、しっかりコクと旨味があるビールで、下面発酵のエビスや一番搾りの生とも違う、本場ドイツやチェコのビールとも違う味わいです。

無濾過のためか、どっしりとボディがあり生ビールのように美味しく感動してしまいました。わざと厳しく評価するならば、ホップ由来の香りや仕込む酵母の香りがつまらない、そんな部分もありますが今年飲んで感動したビールのひとつです。

グラスが特徴的で、ルーン文字が描かれているもので、試供品ではなく実費で購入しているそうです。クリスタルグラスで、土台の鉛の含有率はまずまず。透明感も高く、演出としては素晴らしいです。

これ、デザインでやっているそうですが、かなり良いグラスだと思います。ビールというのはゆっくり飲むと、後半になって味が酸化してきて不味くなります。

いくら美味しい生ビールでも、そこに1口だけ残して2時間経ったらどうでしょうか…?不味くなりますよね。

このガージェリーの構造は、飲んでいくほどにテーパードされていき空気に触れる面積が少なくなります。それだけでなく、スタンドのガラス層があり温度が逃げにくい構造です。

デザインとしても面白いですが、実際に味が良くなるような気がします。少なくとも瓶から直接飲むよりも何十倍と美味しくなるはずです。

ガージェリー・スタウトも飲んでみました。
公式のテイスティングノートでは「ロースト麦芽の香ばしさと、エール酵母由来の甘いエステル香(フルーティな香り)、芳醇な赤ワインやエスプレッソを思わせる柔らかい甘みと上品な苦味のバランスが取れた味わい。温度変化による香味の移り変わりをゆっくり楽しむこともできる。」とあります。

いうほどエステリーか?と思いますが、バランスが極めて良いです。ドイツにありがちな、強い焙煎とコクを全面に出したパワフルなスタウトではなく、ギネスを更にマイルドにした軽いタッチの味わいです。

かといって、物足りなさもなく、ビール初心者でも安心して楽しめるような味わいです。

まるでPR記事のようになってしまいましたが、Stella Expressでは美味しいものは美味しいと書いているので、今後も何度か試したいです。

共通していえることは、雑味がなくクリーンであることです。クラフトビールは千差万別ですが、工場がエチゴビールのためか、中でも市販のビールメーカー寄りです。
正直私はエチゴビール嫌いで、缶ビールはマズイ、伊豆の国ビールとかいって新潟で作ってまずいなど、許せないことが何度もありました。しかし今回のガージェリーはビール好きにも一度は飲んで欲しい1本ですね!

サントリー塩尻 岩垂原メルロ 2017

結局こうなんだなと。

今日は初めて開けるワイン、サントリーの長野ワインです。

国産ワインは甲州のグレイスばかりだったので、なかなか期待できます。
しかし、11年前には想像できない経験になった気が……。

当時は年間に飲むワインは12本前後で、格安の千円台が中心だったので、本当に人生ってわかりませんね。

スペックからいきましょう。

標⾼700m以上の冷涼な気候の岩垂原地区は、⾹りが豊かで、熟した果実味があり、凝縮した味わいのメルロを⽣み出します。フレンチオーク樽で熟成後、瓶詰めし、複雑で芳醇な⾹りと凝縮感のある味わいに仕上げました。
出典:https://www.winery.or.jp/wine-search/321/

フルボディ 飲み頃温度は16-18度と紹介されています。

ワイナリー名 サントリー(株)/塩尻ワイナリー
製品名 サントリー塩尻ワイナリー 塩尻 岩垂原メルロ
種類 赤
品種名 メルロ
原料原産地名 長野県塩尻市岩垂原地区産
内容量 750ml
価格 8,800円(税込)
味わい フルボディ

これ、めちゃめちゃ気になるのですが、公式サイトでは2009〜2016年まで、飛んで2018年が紹介されています。

出典:https://www.suntory.co.jp/wine/nihon/wine-cellar/list_symbol.html#smml

もしかして…オフビンテージ?

2016年は2,736本(228ケース)、2018年は2,720本(310ケース)です。
長野ではないですが、山梨の場合は2017年は良いビンテージチャートだったので、かなり気になります。

サントリー塩尻 岩垂原メルロ 2017 テイスティングノート

抜栓直後はシャトー・パルメのファースト、極めて良質なメルローの香りで煙草の葉や、加湿した葉巻のラッパーのにおい。
シガーバーのセラーに入ったような、湿った土や腐葉土を思わせる香り。

ただ、パルメのような艶やかな香りはなく、ドライな単調な香り。
誘われて口に含むと、思いのほかボディがあっさりしていて少しがっかりした。香りが開いていないのか1グラスだけで翌日に持ち越し。

抜栓2日目

初日の偉大な香りは弱まる。バスクリンのような、泡が出る系の入浴剤。口に含むと、柔らかく優しい良いとハーモニー。
あまりワインのテイスティングにハーモニーと使ったことはないけれど、スケールの小さい楽団のように調和が取れている。

キノコ生える森、日陰の納屋、日の届かない森。
チョコレートの包み紙、猫の背中を触った、公園の剥げかけた生木の皮、錆びた鉄棒。

酸味は優しく、苦味も弱く、香りは上品でつつましい。アメリカワインの対極にある。昨今流行りのワインは、どぎついバニラ香りにアタックの強い酸味とアルコールの棘、果実爆弾が好まれているので、この岩垂原の傾向は非常に良い。

キレはよく、さっと口から存在が消えるので和食に合わせてもイヤミがない。

正直言って、昔リリースしていた中央葡萄酒の「メルロ」の方が感動はある。あちらは、底から沸き上がる地のエネルギー、太鼓のような聴覚や肌に響くようなパワーを感じられた。
そして地の奥深くにあるミネラルを、嫌でも体験できた。

それと比べると岩垂原は、全てにおいて控えめ、それなのに上品さを感じる素晴らしいワイン。

飲んでみた感じは、恐らくオフビンテージなのだと思う。
ボルドー右岸の2013年のような水っぽさ、ブヨブヨという訳でないけれど、収穫前に日照不足のためか凝縮感は全く感じられない。

もともとの場所が良いのか、気品が感じられるだけに残念。カラッと晴れた日が続き、さらに凝縮するとすれば中央葡萄酒に迫る勢いだと思う。

強い刺激に慣れすぎてしまった人たちには、あまり良い印象はないかもしれない。ワインの声を聞いたものに語りかける一本に違いはない。

追記 2022年11月8日21:49

寒い外で飲むと円熟しらネビオッロのような華やかな香りがする。
サウジアラビア空港の香水店の匂い、少し中東っぽさ。
胡椒のスパイスやヴォーヌロマネの薔薇のようなニュアンス。
いんく
青ピーマン
ヴォーヌロマネのプルミエにコレ系の香りするときある。
声が聞こえる、その時ではないと
ミニトマトの茎

このワインは温かい部屋ではなく、寒い屋外の環境で飲んだ方が本質が見える。

単に加齢によるミモかもしれないけれど、勉強になった。
16度が美味しい説は本当っぽいです。

 

1週間後に飲むと、いきなり上品なメルローになり当初の酸が落ち着いたいてので、熟成期間が足りないのかもしれない……。本当にワインは難しい。